インファクト

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アジア調査報道会議「アジアで調査報道のネットワーク結成」

ICIJでデータ処理を担当したマー・カブラ(Mar Cabra)は、「2.6テラバイトという厖大な情報を前に呆然としたが、技術の助けが重要だった。既存の技術を駆使して情報処理の仕組みを作った」と当初の状況を明かした。

パキスタンのウマール・クーマ(Umar Cheema)は、「首相の名前を出すかどうかで新聞の発行者ともめるかと思ったが、彼は理解をしめしてくれた。首相の3人の子供がバージン諸島に会社を持っていたことがわかった。

インドのリタ・サリン(Rits Sarin)は「まだ私は追い続けている。政府の反応については、財務大臣がパナマ文書の報道をきっかけに租税回避地に逃れる資金の調査を開始すると発表した」と話した。

共同通信の澤康臣特別報道室次長は、「共同通信とライバルである朝日新聞とで協力して取材にあたるという過去にない取り組みを行った。日本ではこれまで政治家の名前は出ていないが、それでも我々は失望していない。まだこれからも取材を続ける」と話した。

インドネシアのワイユ・ディヤトミカ(Wahyu Dhyatmika)は、「大統領の名前を調べ続けてきたが、そうした名前は見つからなかった。その後、大臣、経済界の名前を入れ続けてきて、2人の現職大臣、数人の公職者、犯罪者の名前を見つけた。大統領官邸からは、誰の名前が出ているのか教えてほしいと連絡が有ったが、我々は応じなかった。インドネシア政府は、ある意味で賢く、パナマ文書を使って政治家の汚職に厳しい対応をとろうとした」と話した。

アジア調査報道会議の様子(カトマンズ)
アジア調査報道会議の様子(カトマンズ)

24日には、アジアのジャーナリストが協働して調査報道を行うネットワークについても議論が行われた。その中で、パナマ文書の取材をアジア各国で分担して更に深く掘り下げていくことが決まった。具体的には、インドネシアのワイユ・ディヤトミカ、朝日新聞特別報道室の奥山俊宏編集委員、そしてアイ・アジアの創設者であるジャーナリストの立岩陽一郎氏が中心となって、パナマ文書へのアクセスが認められていないアジア各国のジャーナリストを支援してパナマ文書の取材を行い、最終的には、データを管理しているICIJと交渉してデータの開示を要請してニュースとして出すというものだ。

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