インファクト

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【追記あり】『虎ノ門ニュース』問題に関する経緯と見解 ファクトチェック活動に関する様々な誤解について

【追記あり】『虎ノ門ニュース』問題に関する経緯と見解 ファクトチェック活動に関する様々な誤解について

 インファクトは、6月18日「『PCR検査は風邪も検出』と誤った主張の動画が拡散」と題したファクトチェック記事を掲載しました。中部大学教授の武田邦彦氏が動画で「PCRは新型コロナウイルスの検査にならない」「普通の風邪も検出する」と発言した内容の真偽について検証したものです。
 これについて、武田氏が出演する『虎ノ門ニュース』(DHCテレビ制作)が複数回にわたり取り上げられました。この中で、武田氏や須田慎一郎氏ら出演者やMCにより、ファクトチェックの内容についての明確な反論はなされないまま、別団体であるFIJにも矛先を向けつつ、事実と異なる発言、事実に基づかない批判、メンバーへの揶揄も繰り返されました。このため、多くの視聴者が私たちの活動について誤解や疑念を抱いたとみられます。そして今後もそうした誤解が増幅することを懸念しています。
 こうした極めて残念な状況に至った以上、ここで改めて、本件について関心を寄せている視聴者、読者の皆様のために、番組内の発言内容や事実関係を整理し、問題の所在とインファクトの見解を明確にすることとしました。
 その真否・当否の判断は、読者・視聴者諸賢に委ねたいと思います。(ファクトチェック担当共同編集長 楊井人文)


要 点

  • 武田邦彦氏の言説についてインファクトが行ったファクトチェックについて、武田氏から、何ら具体的な根拠に基づく反論、訂正要請は来たことはない。
  • ファクトチェックにおいて、発信者に対する事前取材は必要な時とそうでない時がある。ノーベル賞学者に関する発言については武田氏に対する取材申込もしたが、返答はなかった。
  • インファクトは大手メディアの報道や出演者の発言についてのファクトチェックも、政治家や有識者の言説に対するファクトチェックも行っており、ネット上の特定の立場の言説だけを対象としているものではない。
  • インファクトとFIJは別個独立した団体である。武田氏の発言のファクトチェックを行ったのはインファクトであるのに、『虎ノ門ニュース』の放送内容は、発端となったインファクトのファクトチェックを真正面から取り上げることなく、FIJの信用性を貶めることに終始していた。
  • 出演者の須田慎一郎氏からは一度も取材はなく、当方の取材申込にも返答しなかった。
  • 『虎ノ門ニュース』から公開質問状なるものは届いたことはない。インファクトへの取材申込も、連絡先を知りながら一度も行わなかった。FIJに対する取材申込は一度あったが、一方的な放送を4回行った後に初めて行われた。インファクトへの取材は一度もなく、当然ながら出演打診や公開討論の打診も一度もない。
  • 『虎ノ門ニュース』から放送前後の連絡・通知はなく、毎回放送のたびに視聴者から(ファクトチェックに直接関与していない)FIJ宛てに多量の誹謗中傷メッセージが届いた。その多くが、当方が議論から逃げているとの印象を持った視聴者たちからのものであった。だが、上記の通り、番組側から何らコンタクトがなく、一方的な批判の配信がなされてきたというのが事実である。

(記事の構成)

第1 見解の骨子
1 ファクトチェックの内容について
2 ファクトチェックの経緯・手法について
(1) 事前取材についての考え方
(2) 検証対象の選定についての考え方
3 番組出演者の発言や当方への取材について

第2 これまでの経緯

第3 資料
(1) 『虎ノ門ニュース』からの取材申請書(8月7日)とそれに対する回答(8月10日)
(2) インファクトから須田慎一郎氏に対する取材申請書(8月31日)

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