イギリスで新型コロナウイルスの変異種が確認され、欧州各国が同国からの渡航を相次ぎ禁止していることに関連して、菅義偉首相が12月21日、TBSのインタビューでイギリスから日本への入国者数は1日1、2人だけだと発言した。だが、実際は英国からの入国者は1日平均150人だと加藤勝信官房長官が明らかにした。（楊井人文）

菅義偉首相は12月21日、TBSニュース23のインタビューに収録出演し、イギリスで確認されたとされる新型コロナウイルス変異種への対応について質問され、次のように答えた。

しかし、加藤勝信官房長官は12月23日午前の記者会見で、イギリスからの入国者数について問われ、11月は1日平均約50人（うち日本人約40人）、12月は1日平均150人（うち日本人約140人）と回答した。12月1日〜20日のイギリスに滞在歴のある渡航者に対する空港検疫で13人の陽性者が見つかっていることを明らかにした。

菅首相のインタビュー発言について、加藤長官は「イギリスに滞在歴のある渡航者で陽性者数を念頭においたものと考えられる」と釈明した。

しかし、菅首相は、「陰性でも14日間隔離します」と述べていたことから（注：実際は自宅待機等の「要請」であり、強制力のある隔離はとられていない）、一般視聴者が聞けば「イギリスからの入国者数が1日1、2人」と理解するほかない発言だった。加藤官房長官は、菅首相の発言内容が不正確であったことを事実上認めたものと言える。

12月22日の野党側が開催した国会ヒアリングでも、国土交通省の担当者が「日英間の航空旅客便は今週は15便となっております」「（1便あたり搭乗者数は）規模感では数十人」と説明していた。

加藤官房長官は23日の会見で、イギリスからの入国者に対する水際対策を強化するため、イギリス滞在歴のある日本人以外の新規入国を当分の間停止することなどを発表した。

結論

政府はイギリス滞在歴のある入国者数について12月は1日平均約150人であることを明らかにしている。陽性者に限れば12月の20日間で13人であるため1日1人未満となるが、菅首相はインタビューで陽性者の数とは全く言っておらず、誰が聞いても入国者数が「1日1、2人」だと理解するような発言をしていた。よって、発言内容は「誤り」と判定した。