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[Fact Check] TOKYOワクションで「 LINEに本人確認書類を登録」は根拠不明

[Fact Check] TOKYOワクションで「 LINEに本人確認書類を登録」は根拠不明

ワクチン接種証明を登録するアプリ『TOKYOワクション』について、「LINEに本人確認書類を登録」とする発信がツイッター上であった。これについてLINEは否定している。その説明を信じるだけの明確な根拠は無いが、少なくとも「LINEに本人確認書類を登録」と断定できる根拠は無い。(川端奈緒、田中真帆)

チェック対象

「 え!?TOKYOワクションに約5800人も申請していることに衝撃…。 LINE友達追加はしたけれど、『LINE』に本人確認書類を登録するとか、怖過ぎてできないよ…。日本大丈夫か??せめて、COCOA活用すれば良いのに。それでも私は本人確認書類登録まではしないだろうけど←」
(Twitter、2021年11月2日投稿)

結論 根拠不明

【根拠不明】LINEは否定しており、「『LINE』に本人確認書類を登録する」と断言できる根拠は無い。

「TOKYOワクションとは」

TOKYOワクションとは、東京都が新型コロナのワクチン接種を促進するために取り組んでいるプロジェクトで、「ワクション」とはワクチンとアクションを組み合わせた造語だ。

LINEを使用してワクチンの接種記録を登録すると、スマートホンをワクチン接種証明書的に活用できるほか、このアプリから協賛企業などによる特典に応募できるようになっている。

TOKYOワクションの公式サイトでは、ワクチンに関する情報や接種に関する注意点などの情報提供を行なっている。Webサイトに「若い皆さんの前向きなアクションが必要です」と記載されているとおり、基本的に「若者のワクチン接種を促進する」ための施策である。ただし、若年層のワクチン接種率も上がってきており、接種の推進とともに都内施設利用のためのワクチンパスポート(接種証明書)的な役割も担っていく予定だとしている。

では、ツイートのように、「『LINE』に本人確認書類を登録する」必要が有るのか?

本人確認書類は含まない

TOKYOワクションにおける本人確認書類をアップロードするWebフォームにある応募規約を見てみた。そこには以下のように書かれている。

 「本キャンペーンは、東京都が主催します。LINE株式会社が主催ではありません。 本キャンペーンは、LINE株式会社が提供する「LINEで応募」を利用しています。そのため、「LINEで応募」のサービス提供に必要な本キャンペーンへの参加状況等(アップロードいただいた「本人確認書類」「新型コロナワクチンの接種記録」は含みません。)をLINE株式会社が取得します。」

つまり、LINE「サービス提供に必要な本キャンペーンへの参加状況等をLINE株式会社が取得」するということだが、ツイートにある「本人確認書類」はそこに含まれない、つまりLINEが取得することは無いとなっている。

また、 「LINE株式会社は、「LINEで応募」のサービスを提供するため及びLINEプライバシーポリシーに定めた範囲でキャンペーンの参加状況等を利用します。」 との記載もある。

つまり、発信にあるような、本人確認書類がLINE社に送られるという点を否定している。東京都とLINEの説明をそのまま信じて良いとまで断言できないものの、少なくとも発信された「『LINE』に本人確認書類を登録する」は根拠が不明だ。

このツイートは現段階では拡散していないが、新型コロナのワクチンに関する根拠不明な発信ということで取り上げた。拡散を避ける目的で、この記事ではツイートの発信者が特定できないように加工をしている他、ツイートの表示も控えている。

InFactはファクトチェックをエンマ大王の数で示しているが、「根拠不明」はその対象外。エンマ大王のレーティングは以下の通り。

  • 4エンマ大王 「虚偽」
  • 3エンマ大王 「誤り」
  • 2エンマ大王 「ミスリード」「不正確」「根拠不明」
  • 1エンマ大王 「ほぼ正確」

InFactはファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)のメディアパートナーに加盟しています。この記事は、InFactのファクトチェック基本方針、およびFIJのレーティング基準に基づいて作成しました。

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