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【Fact Check】「外国人は固定資産税を課税されない」は誤り

【Fact Check】「外国人は固定資産税を課税されない」は誤り

地方税の一つである固定資産税は、法律で決められており、土地、家屋、償却資産の所有者に納税義務がある。国籍に関わらず、外国人も含まれるので「課税されない」は誤りだ。

対象言説

X上で「外国人が土地を、不動産を取得しても固定資産税は課税されない。非課税です」という指摘が投稿され拡散している。

結論 【誤り】

InFactはレーティングをエンマ大王で示している。
問題のツイートは「誤り」であり、これは3エンマ大王となる。

エンマ大王のレーティングは以下の通り。

  • 4エンマ大王 「虚偽」
  • 3エンマ大王 「誤り」
  • 2エンマ大王 「ミスリード」「不正確」「根拠不明」
  • 1エンマ大王 「ほぼ正確」

InFactはファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)のメディアパートナーに加盟しています。この記事は、InFactのファクトチェック基本方針、およびFIJのレーティング基準に基づいて作成しました。

ファクトチェックの詳細

総務省のホームページのよると固定資産税は、土地や家屋、それに償却資産に関する台帳に登録されている所有者が対象になる。地方税法である固定資産税は、市町村のほか、東京23区の場合は東京都が課税する。

標準税率は1.4%で、11時点の土地や家屋などの資産価格に基づいて算出される。市町村にとっては、住民税と並ぶ税収の柱だ。納税義務者は、土地や家屋などの所有者と定められている。

では、その納税義務者に外国人が含まれていないのか、総務省に電話で確認した。

対応してくれたのは総務固定資産税課。取材の内容は以下の通り。

Q)固定資産税の対象となっている土地の件数は?

A)2021年度で固定資産税の対象となっている土地の件数は1億8000万件で、家屋は5800万棟だ。固定資産税の総額は9兆2000億円に上る。

Q)外国人所有はそのうちのどのくらいを占めるのか?

A)これらのうち外国人の所有件数や納税額がどれだけ占めるかについてはデータは無い。

Q)確認したいのだが、「外国人が不動産を取得しても課税されない」は正しいのか?

A)固定資産税は、外国人であっても日本人と同じく払う義務があり、「課税されない」は誤りだ。国内に住んでいようが、海外に住んでいようが納税義務は発生する。仮に海外に住所がある外国人が日本で土地を所有する場合であれば、海外に住む日本人と同じく納税管理人を日本に置かなければならない

このXの発信者はまた、銀座や北海道を例に外国人による不動産の買い上げに言及している。外国資本による土地の取得状況がどうなのか確認はできなかったが、北海道においては、森林の取得が増えており、購入面積は2022年末時点で3200ヘクタールに上る。

外国資本による購入が目立つ理由としては、円安など様々な要因が考えられる。

外国資本の流入は、経済の活性化につながるとして歓迎する意見がある一方、場所によっては水資源の保全や防衛上の問題に関わると懸念する意見もある。

2021年、自衛隊施設や原子力発電所の周辺の土地、国境近くの離島などを対象とした土地の取得を規制する法律が国会で成立した。これら重要施設の機能を阻害する行為を防ぐため、「注視区域」や「特別注視区域」を指定して、その土地の利用状況を調査できる内容だ。利用の仕方が不適切とされれば、必要な措置として中止の勧告・命令ができる。

清水竜太郎

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