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【日本学術会議問題】加藤官房長官会見(10月8日)

加藤勝信官房長官 定例記者会見(10月8日午後)

(記者)
話題変わりまして日本学術会議について質問いたします。
三ツ林内閣府副大臣はですね、あの、参院内閣委で学術会議の会員人事の考え方として、専門領域での業績のみにとらわれない広い視点に立つことを求めました。
これは2015年の日本学術会議の新たな展望を考える有識者会議の提言を踏まえているとのことですが、今回の6人の任命拒否もこの提言を踏まえて判断されたのでしょうか。

(長官)
あのご指摘の発言について、平成27年の日本学術会議の新たな展望を考える有識者会議による提言において、「科学者や科学者コミュニティーには細分化された学術分野における真理の追求のみならず、幅広い分野の知識を融合した総合的な知をもって、さまざまな問題に取り組むことが求められているとの認識に立ち、日本学術会議に期待される機能を踏まえると、その会員は自らの専門分野において優れた成果を上げていることにとどまらず、自らの専門分野の枠にとらわれない俯瞰的な視点をもって向き合うことができる人材が望ましい」といった提言がなされておりまして、そうした提言の趣旨を踏まえてですね、えー、こうした学術会議からの推薦を踏まえて任命をさせていただいたということであります。


(記者)
時事通信のマスダです。学術会議に関連しておうかがいいたします。
昨日の午後会見で、1983年の国会答弁と2018年の文書の解釈に関する長官のご回答に関して、ご飯論法を世の中に広めた上西充子さんは「エビチャーハンを作っていたのをタマゴチャーハンに変えましたよね」という質問に対し「同じシェフがつくっており、その点において何ら変わりはない」と言っているようなものと指摘しています。
説明が分かりづらいとの趣旨と思われますが、長官の受け止めをお聞かせください。

(長官)
まず、その例えの意味がちょっと私にはにわかに分かりませんが、ただいまおっしゃるように、その説明が分かりづらいという指摘に対してはしっかりと説明ができるようにさらに努力をしていきたいというふうに思います。


(記者)
東京新聞のムラカミです。日本学術会議の任命についておうかがいいたします。
今日の参院内閣委の質疑で、1969年の衆院文教委での高辻内閣法制局長官の答弁についてのやりとりがありました。
少々長いんですが、当時のこの法制局長官の答弁をちょっと引用します。
これ、国立大学の学長の、文部大臣の任命等、任命権等の関係について、高辻法制局長官は、15条1項というのを我々は、これは無視することができないとして、明らかに大学の目的に照らして不適当だと認められる、それを任命することが国民に対して責任を果たすゆえんではないというような、極めてまれなことであろうが、そういう場合にまで任命をしなければならぬわけでない、というふうに答弁をしています。
これ当時は、今のように国立大学法人ではなくて、国立大学だったわけです。
そうしますと、2018年の文書の見解でですね、学術会議の任命すべき義務があるとまでは言えないというのも、この69年の答弁と同じく、明らかに不適当だと認められる、それを任命することが国民に対して責任を果たすゆえんではないという、そういった場合において、という理解でよろしいんでしょうか。

(長官)
あのこれはもう再三再四、先ほども説明をさせていただきましたけれども、私どものこの任命に当たっての考え方、そのポイントは憲法第15条第1項の規定で公務員の選定罷免権が国民固有の権利であるという考え方から、任命権者としてこれまでのいろいろな議論があって、総合的俯瞰的、先ほどまたお話がありました。
そうした観点に立ってやらせていただいているということでありまして、それに尽きるというふうに思いますけれども…。

尽きるというのは、要するに、いまおっしゃった、今の大学という大学、当時は大学、国立大学の学長の選定と、今回の行政組織たる日本学術会議のメンバーを決めるということはやっぱりそれぞれ違うわけであります。
違う法律にのっとると、憲法上は広い意味では、えー、第15条1項というのがありますけれども、そしてそれに含めて、えー、総合科学学術会議の提言とか、また16年の検討会議のそうした議論、そうしたことを踏まえて任命をさせていただいているということです。

(記者)
東京新聞のムラカミです。
その大学、国立大学でのその学長の任命と今回のその日本学術会議の会員の任命が違うという、いまお話ありましたけれども、当時のこの69年の答弁を見ますと、その国立大学であったとしても国立大学であっても、えっと、必ずつまり不適当と認められるような場合に、そういった場合にまで任命をしなければならぬわけではないというふうに、つまり結論の部分においては2018年見解と同じような言い方をされているわけです。
そのときに、じゃどういった場合がそれに当たるかということで、その明らかに大学の目的に照らして不適当だと認められる、それを任命することは国民に対して責任を果たすゆえんではないというような、極めてまれなことであろうかというふうに述べているわけですけれども、つまりここの部分というのは18年見解においても同じような条件が関わってくるということになるんでしょうか。

(長官)
いやですからあの、18条1項をどう考えていくかということとあわせて、先ほど申し上げた日本学術会議に関しては、総合科学学術会議における最終答申と言いましたかな、と、あるいは16年に行われた考え方においてですね、総合的な俯瞰的な観点に立って、あるいは先ほど言いました総合科学学術会議についてでありますが、そうした観点に立って、さらには先ほど申し上げましたけれども、自らの専門分野において優れた成果を上げていることにとどまらず、自らの専門分野の枠にとらわれない、そうした議論がなされてきているわけでありますから、当然そうしたことも含めて任命をしていくというのは当然のことじゃないでしょうか。

(記者)
関連でおうかがいします。朝日新聞キクチです。
先ほど官房長官の方から改めて、総合的俯瞰的観点に立ってというご説明がありました。
やはりこうした理由で6人が除外に至ったということを多くの国民が納得できるのだろうかと思います。
今回この6人除外の理由について政府は個々の人事なので説明しないと何度もご説明していますが、そもそも合理的な理由、6人除外に至った合理的な理由は説明できるんでしょうか。
説明することは可能なのかどうかという意味。

(長官)
可能、可能っていうのは、その個別の人事に関してはこれまで説明を、ここでだけではなくて説明をしてきていることがないわけでありますから、そこを説明しろと言われても、それはできないというか、控えてきているということであります。
ただ、私どもの考え方は先ほどから縷々申し上げておりますように、総合的俯瞰的であり、かつ、先ほど申し上げた自らの専門分野において優れた成果を上げていることにとどまらず、自らの専門分野の枠にとらわれない、そうしたことがこれまでも累次、提言等でなされてきているわけでありますから、そういった観点に立って判断をさせていただいたということであります。

(記者)
重ねておうかがいします。朝日新聞キクチです。
説明するかしないかは別として、改めてですが、この6人除外した合理的な理由はいまおっしゃった観点に立てば、政府内では説明することは、可能性としては、あの、説明する根拠はあるという認識でいいでしょうか。
するかしないかは別ですけれども。

(長官)
いやですから、そういう判断に立って除外をしたというんじゃなくて、今回任命した方を任命させていただいたということであります。

(記者)
東京新聞ムラカミです。その最後のところを確認させてください。
除外したというわけではなくて、今回任命されたその99人の方を任命されたということなんですけれども、その99人の方は総合的俯瞰的な観点で、また自らの専門分野にとらわれないということかと思います。
いまのその朝日新聞さんのご質問にあったように、その6人に関してはそうしますと総合的・俯瞰的な観点や自らの専門分野にとらわれる等々の理由において、その任命をしなかったという理由は政府としては当然お持ちでらっしゃるのかどうかというところをお願いします。

(長官)
いやですからいまそういう観点に立って、今回任命をさせていただいたということはずっと説明をさせていただいているということじゃないんですか。

(記者)
東京新聞ムラカミです。
任命させていただいた方でなくて、任命されなかった方のほうです。

(長官)
いやですから、任命された方はそうやって任命したっていうことを私たちは説明しているのであって、そして結果として、推薦をいただいたうちの6名については任命されない形で残ったということでありますから、残したんじゃなくて、我々は任命という行為をしていることを従前から申し上げている、そしてその任命に当たっては先ほど申し上げた観点に立って、任命をさせていただいたということであります。


2020年10月8日午後、首相官邸

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